2009年10月09日
相続の放棄とは
民法第939条は、
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす
と定めています。
相続の放棄も、限定承認と同じように家庭裁判所に申述しなければなりません。
借金の方が多い場合や、一部の相続人に相続させたいときに他の相続人により行われます。
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす
と定めています。
相続の放棄も、限定承認と同じように家庭裁判所に申述しなければなりません。
借金の方が多い場合や、一部の相続人に相続させたいときに他の相続人により行われます。
2009年10月08日
相続の限定承認の方法
限定承認の方法
相続の限定承認を行うには、
3ヶ月の熟慮期間内に
被相続人(故人)の最後の住所地の家庭裁判所に対して、
限定承認をする旨を申述しなければなりません。
申述に必要な書類は、
相続放棄の申述書1通
申述人本人の戸籍謄本1通
被相続人の除籍(戸籍)謄本,住民票の除票各1通
です。
費用は、
申述人一人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です。
相続の限定承認を行うには、
3ヶ月の熟慮期間内に
被相続人(故人)の最後の住所地の家庭裁判所に対して、
限定承認をする旨を申述しなければなりません。
申述に必要な書類は、
相続放棄の申述書1通
申述人本人の戸籍謄本1通
被相続人の除籍(戸籍)謄本,住民票の除票各1通
です。
費用は、
申述人一人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です。
2009年10月07日
相続における限定承認とは
相続における限定承認
民法第922条は、
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる
と定めています。
すなわち、故人が多額の借金を残していた場合であっても、限定承認をすれば相続によって得た財産の範囲で借金を支払えばよいということになります。
但し、通常、債務の方が多い場合は相続の放棄をすれば足りる上、限定承認は、手続きがややこしいので、ほとんど行われることはありません。どうしても相続したい財産があるが、相続財産より借金の方が多い等の場合には使える制度といえるでしょう。
民法第922条は、
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる
と定めています。
すなわち、故人が多額の借金を残していた場合であっても、限定承認をすれば相続によって得た財産の範囲で借金を支払えばよいということになります。
但し、通常、債務の方が多い場合は相続の放棄をすれば足りる上、限定承認は、手続きがややこしいので、ほとんど行われることはありません。どうしても相続したい財産があるが、相続財産より借金の方が多い等の場合には使える制度といえるでしょう。
2009年10月06日
相続における単純承認とは
相続における単純承認
民法第920条は、
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
と定めています。
単純承認とは、通常の相続と考えてください。
単純承認の場合、相続人は、被相続人(故人)の不動産や株、預貯金等のプラスの財産の他に、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
民法第920条は、
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
と定めています。
単純承認とは、通常の相続と考えてください。
単純承認の場合、相続人は、被相続人(故人)の不動産や株、預貯金等のプラスの財産の他に、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
2009年10月05日
相続の判断の猶予期間は3ヶ月
民法915条第1項本文は、
相続人は、自己のために相続の開始(被相続人の死亡)があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
と定めています。
そして「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、
相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り、かつそのために自己が相続人となったことを覚知した時を指す(大決大15.8.3)とされており、
3ヶ月の熟慮期間は、相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべき時から起算すべき(最判昭59.4.27判時1116号29頁)とされています。
また、複数の相続人がいる場合は、この3ヶ月の熟慮期間は、それぞれの相続人につき、各別に進行します(最判昭51.7.1)。
次回は上の条文にある単純承認、限定承認、相続放棄について見ていきましょう。
相続人は、自己のために相続の開始(被相続人の死亡)があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
と定めています。
そして「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、
相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り、かつそのために自己が相続人となったことを覚知した時を指す(大決大15.8.3)とされており、
3ヶ月の熟慮期間は、相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべき時から起算すべき(最判昭59.4.27判時1116号29頁)とされています。
また、複数の相続人がいる場合は、この3ヶ月の熟慮期間は、それぞれの相続人につき、各別に進行します(最判昭51.7.1)。
次回は上の条文にある単純承認、限定承認、相続放棄について見ていきましょう。
2009年10月04日
非嫡出子(婚外子)は嫡出子の半分しか相続できない?
民法上、嫡出子(ちゃくしゅつし)(婚姻関係にある男女から生まれた子)に対して、非嫡出子(婚外子)は法定相続分が2分の1となっています。
この民法第900条第4号の規定が、法の下の平等を定める憲法第14条第1項に反するのではないかと度々争われていますが、最高裁判所は、法律婚の尊重と非嫡出子の保護との調整を図ったものであり、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するとはいえないとしています(最大決平成7年7月5日)。
つい先日も遺産分割審判の特別抗告審でこの婚外子相続規定が争われましたが、平成7年の上記大法廷決定が踏襲された決定がなされました。特別抗告をしていた非嫡出子(婚外子)側が沖縄県在住だったからか沖縄タイムスでは一面で取り上げていますね。
ところで、 米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、2006年と2007年に生まれた子どもにおける婚外子の割合は、欧米では多くの国で40%を超えるそうです。特に近年急増しているようです。
一方の日本では2007年で婚外子の割合は約2%と欧米に比べて著しく低いです。法律的にも社会的にも日本ではまだまだ婚外子を受け入れる態勢が整っていないということでしょうか。
この民法第900条第4号の規定が、法の下の平等を定める憲法第14条第1項に反するのではないかと度々争われていますが、最高裁判所は、法律婚の尊重と非嫡出子の保護との調整を図ったものであり、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するとはいえないとしています(最大決平成7年7月5日)。
つい先日も遺産分割審判の特別抗告審でこの婚外子相続規定が争われましたが、平成7年の上記大法廷決定が踏襲された決定がなされました。特別抗告をしていた非嫡出子(婚外子)側が沖縄県在住だったからか沖縄タイムスでは一面で取り上げていますね。
ところで、 米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、2006年と2007年に生まれた子どもにおける婚外子の割合は、欧米では多くの国で40%を超えるそうです。特に近年急増しているようです。
一方の日本では2007年で婚外子の割合は約2%と欧米に比べて著しく低いです。法律的にも社会的にも日本ではまだまだ婚外子を受け入れる態勢が整っていないということでしょうか。
2009年10月03日
遺留分の時効
遺留分の時効
遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は、遺留分減殺請求権を行使できます(相続財産の遺留分をよこせといえる)が、遺留分減殺請求権は時効によって消滅します(消滅時効)。
① 相続の開始(被相続人の死亡)と贈与や遺贈によって遺留分が侵害されたことを知ったときから1年
② 相続開始時から10年
のいずれかです。
例えば、故人が公正証書遺言を残しており、その遺言を確認したところ自分に財産がもらえなかったと知った場合、そこから1年で遺留分減殺請求権は時効消滅しますので、いそいで遺留分減殺請求権を行使する必要があります。
遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は、遺留分減殺請求権を行使できます(相続財産の遺留分をよこせといえる)が、遺留分減殺請求権は時効によって消滅します(消滅時効)。
① 相続の開始(被相続人の死亡)と贈与や遺贈によって遺留分が侵害されたことを知ったときから1年
② 相続開始時から10年
のいずれかです。
例えば、故人が公正証書遺言を残しており、その遺言を確認したところ自分に財産がもらえなかったと知った場合、そこから1年で遺留分減殺請求権は時効消滅しますので、いそいで遺留分減殺請求権を行使する必要があります。
2009年10月02日
遺留分(いりゅうぶん)の意味
相続は、相続人の生活保障という面があり、また被相続人の財産というのは潜在的に相続人の持ち分があると考えられます。そこで、これを最低限保証しようとして考えられたのが遺留分(いりゅうぶん)の制度です。
遺言がある場合、民法に定められた法定相続分よりも遺言が優先しますが、遺留分にあたる部分は遺言によっても排除することはできません。
遺留分が認められているのは、兄弟姉妹以外の相続人です。
遺留分の額は、直系尊属(実父母、実祖父母、実曽祖父母など)のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は、被相続人の財産の2分の1となります。
遺言がある場合、民法に定められた法定相続分よりも遺言が優先しますが、遺留分にあたる部分は遺言によっても排除することはできません。
遺留分が認められているのは、兄弟姉妹以外の相続人です。
遺留分の額は、直系尊属(実父母、実祖父母、実曽祖父母など)のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は、被相続人の財産の2分の1となります。
2009年10月01日
寄与分の意味
寄与分は、特別受益と逆の考え方です。特別受益は、生前の被相続人(故人)から相続人に対する財産の移転を相続において考慮することですが、寄与分は、生前の相続人から被相続人への財産の移転を相続において考慮することです。
つまり、被相続人の行っていた事業を手伝っていたり、具体的に財産を贈与していたり、被相続人の介護を行ったこと等により、被相続人の財産の維持や増加に寄与した相続人については、特別な寄与があるとして、相続においてこれを控除して考えます。
例えば、相続人として子どもが2人(長男・長女)おり、遺産が3000万円あるとします。ただし、長男は被相続人が生前営んでいた事業を手伝っており、被相続人の資産形成に1000万円分の貢献をしていました。この場合、相続分の計算においては、まず寄与分の1000万円を実際の遺産から引いて2000万円とします。そして、これを2等分し、長男・長女それぞれ1000万円ずつと考えます。ただし、長男は寄与分として1000万円の貢献がありますので、これを追加し実際の相続分は2000万円となります。
寄与分を考慮することによって、実際の相続分には差が生じますが、その差額はもともと長男が取得すべき額といえるので平等な結果となるのです。
つまり、被相続人の行っていた事業を手伝っていたり、具体的に財産を贈与していたり、被相続人の介護を行ったこと等により、被相続人の財産の維持や増加に寄与した相続人については、特別な寄与があるとして、相続においてこれを控除して考えます。
例えば、相続人として子どもが2人(長男・長女)おり、遺産が3000万円あるとします。ただし、長男は被相続人が生前営んでいた事業を手伝っており、被相続人の資産形成に1000万円分の貢献をしていました。この場合、相続分の計算においては、まず寄与分の1000万円を実際の遺産から引いて2000万円とします。そして、これを2等分し、長男・長女それぞれ1000万円ずつと考えます。ただし、長男は寄与分として1000万円の貢献がありますので、これを追加し実際の相続分は2000万円となります。
寄与分を考慮することによって、実際の相続分には差が生じますが、その差額はもともと長男が取得すべき額といえるので平等な結果となるのです。
2009年09月30日
特別受益の意味
遺産分割を法定相続分に従って行う場合であっても、被相続人(故人)が、生前に特定の相続人に対し、マンション購入の頭金や事業資金等の援助や何らかの財産を贈与していた場合、その点についても考慮しなければ不公平な結果となってしまいます。
そこで、被相続人から生前に財産の贈与を受けたことによる利益は、特別受益として別途考慮します。特別受益分については、すでにその相続人に対し相続されたものとして考えます。
例えば、相続人として子どもが2人(長男・長女)おり、遺産が3000万円あるとします。しかし、長男に対しては、被相続人が生前にマンションの頭金として1000万円贈与していました。この場合、相続分の計算においては、まず生前に贈与された1000万円を実際の遺産に足して4000万円とします。そして、これを2等分し、長男・長女それぞれ2000万円ずつと考えます。ただし、長男はすでに1000万円の贈与を受けているので、1000万円を差し引き実際の相続分は1000万円となります。
特別受益を考慮することによって、トータルで考えれば2000万円ずつとなり平等になるのです。
そこで、被相続人から生前に財産の贈与を受けたことによる利益は、特別受益として別途考慮します。特別受益分については、すでにその相続人に対し相続されたものとして考えます。
例えば、相続人として子どもが2人(長男・長女)おり、遺産が3000万円あるとします。しかし、長男に対しては、被相続人が生前にマンションの頭金として1000万円贈与していました。この場合、相続分の計算においては、まず生前に贈与された1000万円を実際の遺産に足して4000万円とします。そして、これを2等分し、長男・長女それぞれ2000万円ずつと考えます。ただし、長男はすでに1000万円の贈与を受けているので、1000万円を差し引き実際の相続分は1000万円となります。
特別受益を考慮することによって、トータルで考えれば2000万円ずつとなり平等になるのです。
2009年09月29日
相続手続きの流れ06 遺産分割協議×→家庭裁判所の調停・審判
共同相続人間の遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
遺産分割調停では、家庭裁判所が各相続人から言い分を聞き、解決策を模索します。話し合いがまとまらず、調停分割が成立しなかった場合は、審判手続きに移り審判分割を行います。
遺産分割調停では、家庭裁判所が各相続人から言い分を聞き、解決策を模索します。話し合いがまとまらず、調停分割が成立しなかった場合は、審判手続きに移り審判分割を行います。
2009年09月28日
相続手続きの流れ05 相続税の申告
相続税の申告は、相続開始(被相続人が亡くなられたとき)があったことを知った日の翌日から10カ月以内に行う必要があります。ただし、遺産の評価額が基礎控除額を超えない場合は、相続税はかからず、税務署に対し相続税の申告をする必要もありません。
基礎控除の額は、
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数=基礎控除の金額という計算式によって定まります。
上記のとおり、かなりの額が基礎控除となりますので、多くの人の場合、相続税は発生しないことになります。
相続開始から10か月以内に遺産分割協議が調わない場合は、とりあえず法定相続分に従って相続がされたものとして相続税の額を計算して申告を行い、遺産分割ができた時点で改めて税務署に対し修正申告を行います。
基礎控除の額は、
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数=基礎控除の金額という計算式によって定まります。
上記のとおり、かなりの額が基礎控除となりますので、多くの人の場合、相続税は発生しないことになります。
相続開始から10か月以内に遺産分割協議が調わない場合は、とりあえず法定相続分に従って相続がされたものとして相続税の額を計算して申告を行い、遺産分割ができた時点で改めて税務署に対し修正申告を行います。
2009年09月27日
相続手続きの流れ04 法定相続人間の遺産分割協議
法定相続人も確定し、相続財産目録(遺産目録)も作成したら、いよいよ遺産分割の協議を行います。遺産分割の協議は、相続人全員が参加しなければなりません。どの相続人が何の相続財産を引き継ぐかは自由に決めることができます。法定相続分には縛られません。遺産分割の協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成します。
2009年09月26日
遺言のデメリット
遺言のデメリット
1. 遺言の内容が生前に知られてしまった場合、遺言の内容に関して生前から争いが生じてしまう恐れがある。
→自分で遺言書を書き、家に保管しておく自筆証書遺言の場合、誰かが発見して勝手に見てしまう恐れがあります。これを防ぐためには公正証書遺言によるのがよいでしょう。公正証書遺言は公証役場で保管されるため、誰かが勝手に見てしまう恐れはありませんし、作成に必要な証人は職務上守秘義務を負う弁護士等にすれば、遺言の内容が外に洩れることはまずないでしょう。
2. 遺言の内容が不明確な場合、遺言の効果をめぐって争いが生じてしまう。
→自分で遺言書を書く、自筆証書遺言の場合、形式面の不備により遺言が無効になったり、内容が不明確で遺言の効果がよく分からないといった恐れがあります。自筆証書遺言の場合であっても、弁護士等の専門家に内容を確認してもらうほうがよいでしょう。
1. 遺言の内容が生前に知られてしまった場合、遺言の内容に関して生前から争いが生じてしまう恐れがある。
→自分で遺言書を書き、家に保管しておく自筆証書遺言の場合、誰かが発見して勝手に見てしまう恐れがあります。これを防ぐためには公正証書遺言によるのがよいでしょう。公正証書遺言は公証役場で保管されるため、誰かが勝手に見てしまう恐れはありませんし、作成に必要な証人は職務上守秘義務を負う弁護士等にすれば、遺言の内容が外に洩れることはまずないでしょう。
2. 遺言の内容が不明確な場合、遺言の効果をめぐって争いが生じてしまう。
→自分で遺言書を書く、自筆証書遺言の場合、形式面の不備により遺言が無効になったり、内容が不明確で遺言の効果がよく分からないといった恐れがあります。自筆証書遺言の場合であっても、弁護士等の専門家に内容を確認してもらうほうがよいでしょう。
Posted by 沖縄の弁護士 at
18:02
│遺言のメリット・デメリット
2009年09月25日
遺言のメリット
遺言のメリット
1. 骨肉の争いを防止できる。
法定相続分は2分の1などと決められていますが、不動産等をきっちり2分の1に分けるのは難しいです。そのため争いが生じます。遺産分割が終了するまでは相続財産は相続人全員の共有になるため、相続財産を処分することも困難になってしまいます。初めから、○は甲に相続させる、△は乙に相続させる等と定めておけばそのような争いを防ぐことができます。具体的に何を誰に相続させるかということも遺言書がなければ、相続人の話し合いによって決められてしまいますが、遺言書があれば、自分自身で決めることができます。
2. 法定相続分とは異なる割合で相続させることができます
遺言書を作成することで、世話になったのでたくさん財産をあげたいと思う相続人には、法定相続を超える額をあたえることができますし、逆に財産をあげたくないという人には遺留分を害しない限度で相続させないことができます。
3. 法定相続分のない者にも相続をさせることができます。
内縁の妻や配偶者の連れ子、世話になった知人など本来相続人ではない人に対しても、遺言書があれば財産を渡すことができます。
4. 人生最後の言葉を残せる。
残念ながら、人間はいつ死ぬかわかりません。急死するかもしれませんし、ぼけてしまうかもしれません。言葉がしゃべれなくなってしまうかもしれません。そんなときでも、遺言書を残しておけば、家族への感謝の言葉など自分の人生最後の言葉を残すことができます。遺言書は、相続財産以外のことも書くことができるのです。自分の葬儀の方法等についても書いておくとよいでしょう。
1. 骨肉の争いを防止できる。
法定相続分は2分の1などと決められていますが、不動産等をきっちり2分の1に分けるのは難しいです。そのため争いが生じます。遺産分割が終了するまでは相続財産は相続人全員の共有になるため、相続財産を処分することも困難になってしまいます。初めから、○は甲に相続させる、△は乙に相続させる等と定めておけばそのような争いを防ぐことができます。具体的に何を誰に相続させるかということも遺言書がなければ、相続人の話し合いによって決められてしまいますが、遺言書があれば、自分自身で決めることができます。
2. 法定相続分とは異なる割合で相続させることができます
遺言書を作成することで、世話になったのでたくさん財産をあげたいと思う相続人には、法定相続を超える額をあたえることができますし、逆に財産をあげたくないという人には遺留分を害しない限度で相続させないことができます。
3. 法定相続分のない者にも相続をさせることができます。
内縁の妻や配偶者の連れ子、世話になった知人など本来相続人ではない人に対しても、遺言書があれば財産を渡すことができます。
4. 人生最後の言葉を残せる。
残念ながら、人間はいつ死ぬかわかりません。急死するかもしれませんし、ぼけてしまうかもしれません。言葉がしゃべれなくなってしまうかもしれません。そんなときでも、遺言書を残しておけば、家族への感謝の言葉など自分の人生最後の言葉を残すことができます。遺言書は、相続財産以外のことも書くことができるのです。自分の葬儀の方法等についても書いておくとよいでしょう。
Posted by 沖縄の弁護士 at
18:02
│遺言のメリット・デメリット
2009年09月24日
相続手続きの流れ03 相続財産の確認
相続手続きの流れ03 相続財産の確認
遺言書の有無を確認すると同時に相続の対象となる財産や負債の調査をする必要があります。前回述べたように相続では、借金等の負債も引き継ぐことになりますが、負債を引き継ぎたくない場合には相続の放棄をすることができます(民法第938条)。ただし、借金だけ放棄して預貯金だけ相続するということはできません。相続の放棄を行う場合は、そもそも相続人ではなかったということになりますので、一切の財産を相続することはできません。また、プラスの財産もマイナスの財産も多数あり、相続財産がトータルでプラスになるかマイナスになるかすぐに分からないときは、相続財産の範囲で負債を引き継ぐという限定承認をすることもできます。これに対して通常の相続のことを単純承認といいます。
相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に相続の放棄や限定承認をしなかった場合は、単純承認したとみなされ、借金も引き継いでしまうことになりますので、相続財産の調査は急いで行う必要があります。相続財産の内容・評価額を確認し、相続財産目録(遺産目録)を作成しましょう。
遺言書の有無を確認すると同時に相続の対象となる財産や負債の調査をする必要があります。前回述べたように相続では、借金等の負債も引き継ぐことになりますが、負債を引き継ぎたくない場合には相続の放棄をすることができます(民法第938条)。ただし、借金だけ放棄して預貯金だけ相続するということはできません。相続の放棄を行う場合は、そもそも相続人ではなかったということになりますので、一切の財産を相続することはできません。また、プラスの財産もマイナスの財産も多数あり、相続財産がトータルでプラスになるかマイナスになるかすぐに分からないときは、相続財産の範囲で負債を引き継ぐという限定承認をすることもできます。これに対して通常の相続のことを単純承認といいます。
相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に相続の放棄や限定承認をしなかった場合は、単純承認したとみなされ、借金も引き継いでしまうことになりますので、相続財産の調査は急いで行う必要があります。相続財産の内容・評価額を確認し、相続財産目録(遺産目録)を作成しましょう。
2009年09月23日
遺言執行者って何でしょう?
私は、父の生前に父と一緒に法律事務所に行き、父の財産は全て私に相続させること、遺言執行者をその法律事務所の弁護士さんにすること等を内容とした公正証書遺言を作成してもらいました。その後、父が亡くなったので遺言執行者である弁護士さんに遺言の執行をしてもらったのですが、他の相続人から遺言無効確認訴訟を提起されてしましました。そこで、遺言執行者の弁護士さんに私の代理人になってくれるようお願いしたのですが、利益相反がどうとかと言って拒否されてしまいました。私と私の父の当初からの依頼は、私にちゃんと父の遺産が相続されるようにすることなのですから、利益相反もくそもないと思います!こんな弁護士は許せません!
A
許してあげてください。似たような事案で、遺言執行者であった弁護士が特定の相続人の代理人になったために、懲戒を受けた事例があります。遺言執行者は、中立的な立場で任務を遂行しなければならないので、特定の相続人の代理人になるのはやはり問題なのです。直接の代理人にはならなくとも、遺言を正しく執行するということがあなたを助けることにもなります。もう一度冷静になって弁護士さんと話し合ってください。
A
許してあげてください。似たような事案で、遺言執行者であった弁護士が特定の相続人の代理人になったために、懲戒を受けた事例があります。遺言執行者は、中立的な立場で任務を遂行しなければならないので、特定の相続人の代理人になるのはやはり問題なのです。直接の代理人にはならなくとも、遺言を正しく執行するということがあなたを助けることにもなります。もう一度冷静になって弁護士さんと話し合ってください。
2009年09月22日
相続手続きの流れ02 相続人の調査
相続手続きの流れ02 相続人の調査
遺言書がない場合、法定相続人によって相続財産を分割することになります。遺産分割が行われるまで、法定相続人は勝手に相続財産を処分することはできません。遺産分割は、法定相続人間で話し合い、遺産分割の内容を遺産分割協議書という書面にして行われます。遺産分割には相続人全員の同意が必要になりますので、そもそも誰が法定相続人なのかを確定する必要があります。具体的には、亡くなった人の戸籍から法定相続人にあたる人の戸籍を順々にとっていき相続関係説明図を作成します。
遺言書がない場合、法定相続人によって相続財産を分割することになります。遺産分割が行われるまで、法定相続人は勝手に相続財産を処分することはできません。遺産分割は、法定相続人間で話し合い、遺産分割の内容を遺産分割協議書という書面にして行われます。遺産分割には相続人全員の同意が必要になりますので、そもそも誰が法定相続人なのかを確定する必要があります。具体的には、亡くなった人の戸籍から法定相続人にあたる人の戸籍を順々にとっていき相続関係説明図を作成します。
2009年09月21日
相続手続きの流れ01 遺言書の確認
相続手続の流れ01 遺言書の確認
相続は死亡によって開始します(民法第882条)。亡くなられた方の財産を引き継ぐことを相続といいます。不動産、自動車、預貯金、現金などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も引き継がれます。
遺言書がない場合は、配偶者や子どもなどの法定相続人が法に定められた割合に応じて相続します。一方、遺言書がある場合は遺言で指定された人が遺言で指定された財産を引き継ぐことになります。
そのため、まずは被相続人(亡くなられた方)が遺言書を残しているかを調べることになります。具体的には、公証役場に行き、公正証書遺言がないか確認したり、自宅や銀行の貸金庫を調べて遺言書がないか確認します。
相続は死亡によって開始します(民法第882条)。亡くなられた方の財産を引き継ぐことを相続といいます。不動産、自動車、預貯金、現金などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も引き継がれます。
遺言書がない場合は、配偶者や子どもなどの法定相続人が法に定められた割合に応じて相続します。一方、遺言書がある場合は遺言で指定された人が遺言で指定された財産を引き継ぐことになります。
そのため、まずは被相続人(亡くなられた方)が遺言書を残しているかを調べることになります。具体的には、公証役場に行き、公正証書遺言がないか確認したり、自宅や銀行の貸金庫を調べて遺言書がないか確認します。
2009年09月20日
秘密証書遺言
秘密証書遺言
遺言者が書面を作成し(自筆証書遺言と異なり自筆でなくてもよいです。)、署名押印して封筒にいれ、遺言書に押印したものと同じ印章で封印し、公証人と2人以上の証人の前で提出します。手続きを経た後、遺言書は遺言者が持ち帰り保管します。
メリット
① 遺言の内容を自分以外の誰にも見られない。
デメリット
① 公証人の手数料が必要となる。
② 遺言に必要な法律上の要件を欠いた場合、無効となってしまうおそれがある。
③ 法律的に内容が不明確な場合、効果が認められないおそれがある。
④ 紛失のおそれがある。
⑤ 2名以上の証人が必要となる。
⑥ 家庭裁判所での検認・開封の手続きが必要となる。
このように見ていくと秘密証書遺言にはあまりメリットがありません。遺言を秘密にして生前の紛争を防止したいのであれば、公正証書遺言の証人を職務上守秘義務を負う弁護士等にすればよいことになります。
遺言者が書面を作成し(自筆証書遺言と異なり自筆でなくてもよいです。)、署名押印して封筒にいれ、遺言書に押印したものと同じ印章で封印し、公証人と2人以上の証人の前で提出します。手続きを経た後、遺言書は遺言者が持ち帰り保管します。
メリット
① 遺言の内容を自分以外の誰にも見られない。
デメリット
① 公証人の手数料が必要となる。
② 遺言に必要な法律上の要件を欠いた場合、無効となってしまうおそれがある。
③ 法律的に内容が不明確な場合、効果が認められないおそれがある。
④ 紛失のおそれがある。
⑤ 2名以上の証人が必要となる。
⑥ 家庭裁判所での検認・開封の手続きが必要となる。
このように見ていくと秘密証書遺言にはあまりメリットがありません。遺言を秘密にして生前の紛争を防止したいのであれば、公正証書遺言の証人を職務上守秘義務を負う弁護士等にすればよいことになります。